肩章のはなし
2020/04/09 15:35:28
船のあれこれさてさて・・・・
特に大きなイベントや行事がないときには、ブログ記事もネタに困ります。
ってことで、気が向いたときに船の小ネタを書いてみようと思います。
筆者も長い間海事関係に携わっていますが、もし間違ったことや思い込みなどあったらコメント欄でビシバシご意見を下さい。
今回の画像はhttps://j-crewproject.jp/shipping/からいただきました。
今回は「船員さんの見分け方」です
なかなか一般の方が貨物船に乗る機会はないので、目に触れるとすれば旅客船に乗船されたとき位だと思いますが、船員さんの制服の肩に「肩章」と言われる金筋入りの階級章を見かけることがあります。
実は、この「肩章」(冬服には袖にもあります)を見るだけで、その方の船内での職務と階級がわかるようになっているのです。
トップ画像を見ていただければわかりますが、金筋4本が船長と機関長。それぞれのセクションの最高責任者です。
次いで3本が一等航海士と一等機関士という具合に、金筋の本数で一目で階級がわかるようになっています。
では、船長(甲板部)と機関長(機関部)はどこで見分けるの?
実は金筋の間に施された「色」で見分けるようになっているのです。
船長をはじめ、船の運航に携わる甲板部は「黒」(海の色)
主機関や発電機などをつかさどる機関部は「紫」(理由はのちほど)
旅客船などに乗船しているパーサーは「白」(事務を象徴する紙の色)
陸上との通信を行う無線部は「緑」(陸上の木々の色)
クルーズ船などに乗り組む船医は「赤」(血液の色)
では、なぜ機関部職員の色は紫を使っているのでしょうか
大ヒットしたレオナルドディカプリオ主演の映画「タイタニック」はご覧になった方も多いと思いますが、実は紫色はこのタイタニック事故を契機としているといわれています。
1912年4月10日、英国サウサンプトン港からニューヨークに向けて処女航海に出港したタイタニック号は大西洋上で氷山に衝突、約1500人もの乗客乗員を失う大惨事となりました。
タイタニック事故のほかの話は次の機会に譲るとして、船が氷山に衝突してから浸水が始まり約2時間40分後沈没するまでの間、タイタニック号の機関士たちは船内の照明、無線機、排水ポンプを稼働させるための電力を維持するため、最後の最後まで機関室にとどまり、船と運命を共にしました。
この話を聞いた当時の英国王室(ジョージ5世)は大変心を悼め、またシップエンジニアのシーマンスピリットに敬意を表し、英国王室のロイヤルカラーである「紫」をシップエンジニアのカラーとして使用しても良いというお触れを出し、以来、船の機関士たちはこれを誇りとして紫を使用しているとのことです。
(「紫」はオイルの色という説も一部あるようですが、それでは身も蓋もないので、やはり私はこの説を推してます(笑))
国際的にもタイタニック事故を契機として様々なルールが制定されています。そのうちにまた書いてみたいと思います。
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