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わが身を削って船を守る!

2020/10/21 15:37:42  センムのつぶやき

アノードの話

画像引用:http://www.hakatasb.co.jp/technology/ | わが身を削って船を守る! | 中国地方海運組合連合会|中海連

画像引用:http://www.hakatasb.co.jp/technology/

上の画像は、大型船の船尾にあるプロペラとラダーで、普段は水面下にあるので、なかなか見る機会もないと思いますが、ラダーや船体に張り付けてある銀色の物体をご存じでしょうか。

このブログを見ておられる方は海事関係者が多いと思いますので、今さら説明するまでもないと思うのですが、実は、この「板」は亜鉛板なのです。
専門的には「ジンク」(亜鉛)または「アノード」(電子が流出する電極)という言い方をしますが、実は鉄でできた船に、もしもこの設備がなかったら、下手すれば船に穴が開くかもしれないというほど、とても重要なものなのです。

中学校での実験思い出してください。

学校の理科の時間、塩水に種類の違う金属(アルミと銅板など)を入れると電気が起きるという実験をやって記憶はないでしょうか。
実は、船でも同様なことが起きているのです。

船にも様々な種類の金属が、それぞれ適性に応じた個所に使用されていますが、特に、船尾にはプロペラやプロペラシャフト、船体など、種類の違う金属が使われています。

種類の異なる金属を電解質溶液(海水)に浸けた場合、両金属の電極電位が異なるため、イオン化傾向が強い金属から小さい金属に電子が移動し、電荷を持つ金属原子がイオンとして電解質溶液に溶けだして金属が腐蝕する現象が起きます。(難しい(汗)(汗))
この現象を「電蝕」と言います。

そのため、これを逆手に取り

イオン化傾向の大変大きい金属である亜鉛(ジンク)を船体に張り付け、ほかの金属に先立って意図的に腐食させ、船体を構成する重要な部品を守る役割を与えているのです。

したがって、このジンクは決して塗装しませんし、摩耗して当たり前、ドックの折には新品のものに交換します。

普段は海面下にあり、なかなか見ることはありませんが、理論的にはモーターボートなどの船外機でも同じですので、機会があれば確認して見て下さい。ジンクを見つけることができると思います。

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