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【続編】カボタージュってナニ

2020/12/04  センムのつぶやき

今回の話は正確にいうと「カボタージュ」の話ではありません

前々回、カボタージュってなに??という記事を書きましたが、カボタージュの話になると決まって登場するのが「内航船って、カボタージュがあるから外国人船員が乗ってないんでしょ?」と聞かれます。

実はこれ、よくある誤解なのです。(カボタージュあるある)

カボタージュ制度は、あくまで「日本の国籍を持った船舶にのみ許されている特権」であって、その船に乗っている船員の国籍を制限しているものではないのです。

でも、現実的に内航船員は日本人だけじゃない?

はい、確かにそうです。
なぜ日本人しか乗っていないのか少し掘り下げてみますと、もともとこの話は、「1966年の外国人労働の受け入れに関する閣議決定(口頭了解)」まで遡ります。
これは当時、「外国人単純労働者の導入を認めない」とした労働大臣(当時)発言が閣議了解されて以来、外国人船員についても日本船籍船への配乗が認められていないのが発端であり、実はカボタージュとは異質なものなのです。

しかし、それから50数年を経た近代では、外航の世界では日本船籍船あっても当たり前のように「混乗」が行われ、便宜置籍(FOC:Flag of Convenience)では「実質的に」日本船でありながらほぼ外国人船員のみであることが常態化してしまいますし、陸上産業においても一昨年「入管難民法」の改正で、建前の上では門戸を閉ざしていた外国人労働者を「特定技能」と名のもとに受け入れています。(造船、建設、宿泊など)

じゃあ、内航でも外国人船員が?

論としてはゼロではないと思います。
前述の入管難民法の「特定技能」に職種指定されれば法律上は可能になると思います。
ただ、現行の「特定技能1号」職種は在留期間5年、家族との帯同は不可となっていますから、実際5年かけて養成して、オシマイという選択は取れませんし、家族のもとに帰る交通費が国内旅費とはけた違いでなりますから、仮に賃金コストを抑えられたとしても、難しい判断になるのではないでしょうか。
文化、言語、風習の違う国民性が、数人しか乗っていない内航船に果たして馴染むのか、大いに疑問です。

内航船員不足の根本問題は違うところにあるのではないでしょうか。

日本人がどんどん少なっていることに加え、若年人口が20年前の3/4と極端に減ってきているいま、おそらくその議論は避けて通れないでしょうし、実際一部の学識者からは問題提起もされています。

これまで内航業界は、昭和52年の遠洋漁業200カイリ問題で離職した船員さんを吸収し、昭和60年「プラザ合意」以降の超円高で競争力を失った外航から船員さんを吸収し、昭和の終わりから平成にかけて完成した本四架橋による旅客船事業撤退からの船員さんを吸収してきました。
内航はこうした激動期に調整弁としての機能も果たしてきましたが、もはやこうした船員不足に対する「神風」は吹きません。
(それがゆえに、これまで何となく船員さんを充足できてきたので、若手を雇って、自社で養成するという産業構造になっていないという側面もあるように思います)


内航海運が今後においても国内物流の大動脈であり続けるためには、内航船員が魅力あふれる職業である必要があります。
人口減少のなか、有能な労働力確保は、海事産業間の競争にとどまらず、陸上産業すべてとの産業間競争であります。

国土交通省では「船員の働き方改革」をテーマに様々な検討が進められていますが、船員の働き方改革実現には、オーナーの努力ももちろんですが、何より、オペレーター各位や荷主各位の理解と行動がなければ、近い将来に海上物流が機能不全に陥ることも懸念されます・


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