うみのかみしばい
2020/04/28 10:36:40 センムのつぶやき
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今日の新聞報道では、広島県教育委員会が当初予定していた休校日程を5月いっぱいまで延長することを決定し、各市教育委員会の追随も想定されるとの記事が掲載されていました。
現在のコロナウイルス蔓延状況のなか、解除するという判断はできないのはよくわかりますし、それ自体とやかく言うものではありませんが、一方で、子どもたちはもとより、ご家庭や施設は、大変な状況が続くことになります。
うみのまんまるえがお
日本財団が提唱す「海と日本プロジェクト」の一環で、主に海洋環境を題材にした「うみのまんまるえがお」という紙芝居がリリースされています。
これまで、各地の幼稚園、保育園などで「読み聞かせ」をされてきた素材なのですが、現在の環境では、たくさんの子供たちを集めて読み聞かせを行うことが難しくなってきています。
両面印刷をすることによって、簡単に紙芝居を読み聞かせすることができる素材ですので、ご家庭にプリンタがあればプリントアウトしてお子さんに読み聞かせすることも可能です。
外出がままならないこの時期、海の環境に思いを寄せていただくのもいいのではないかと思います。
距離はマイル、速度はノット
2020/04/23 16:10:24 船のあれこれ
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いやぁ、どうもコロナコロナで気が滅入ってしましますね。
巷では「コロナ鬱」などというのも問題になり始めておりますが、皆さんどうぞお気を付けください。
おかれた状況の中で、何とかして気が晴れることを見つけることも必要です。
さて、今回のネタは船の速さと距離のはなしです。
画像引用:https://www.oceandictionary.jp/index.html
今更ですが、海上距離を表すのはマイル(海里)ですよね
船の世界ではあまりに当たり前すぎて、何をいまさらと思われる方も多いでしょうが、ここはひとつ復習のつもりで。1マイルがなぜ中途半端な距離である1,852mなのかもう一度おさらいです。
この距離は、赤道から北極点までの子午線の距離である10,000㎞÷90度÷60分≒1,852mがその根拠です。つまり、地球の表面距離の「1分」に相当する距離なのです。
ではなぜ、1分の距離を求める必要があったのかといえば、周辺に陸も見えない大海原では、自身のいる位置を求めるために、「何ノットでこっちの方向に何時間航海した」という情報だけで、地球上の自船の位置を大まかに求めることができます。(大航海時代の話ですが・・)
次に必要になるのが、「方向」ですが、これは地上が見えていれば「地文航法」となりますが、そうでなければ「天文航法」です。つまり、昼間は太陽を、夜には星を見つけて「セキスタント(六分儀)」で計測し、「天測歴」と「天測計算表」を使って自船の位置を割り出します。
現代の船ではまず出番はありませんが、以前お付き合いのあった海技試験官曰く、セキスタントが使えない航海士は航海士に非ずとのことでしたので、基本中の基本のようです。
では「何ノットで」というのはどうやって求めていたのかというと
船の速力をはかる装置を「ログ(測程儀)」といいますが、これも時代とともに変遷しています。
「ログ」っていうのは「木片」のことですが、最も初期には、船の先頭から木片を流し、船尾に到達した時間で速力を求めたオランダ東インド会社の船がその方法を用いたことから、ダッチマンズログと呼ばれ、その名残で、いまだに「ログ」という言葉が使われます。(船の世界は歴史を重んじます)
時代が進み、その後、木製の扇形の板に百数十メートルの測程索(ログライン)をしつらえた、「手用測程儀」(ハンドログ)が使用されるようになり、一定の長さごとに結び目(ノット) を作り、船から流して、一定時間に繰り出された結び目の数を数えることによって、速力を図っていました。
さらに時代が進むと・・
時代が新しくなるにつれ、画像にあるような近代的な機器が登場してきます。
回転子を曳航し、その回転数で速力を知るパテントログ、海中に暴露して、速力による水圧で計測するサルログなど、様々なものが開発されましたが、決定的なのは、いずれも「対水速力」であって、必ずしも正確な速力ではないという点です。
その後、オメガ・デッカ・ロランなど双曲線航法(電波航法)の時代が長く続きましたが、現在の主力はご存知の通り人工衛星を使った「GPS」(アメリカの衛星)航法です。
世界各国が自前の航法衛星システム(GNSS)衛星を構築しつつありますが、EUが構築中のガリレオを除き、大半は軍事用衛星を民生用に公開しているに過ぎず、いざ有事の際には「精度が意図的に落とされる」「使えなくなる」といったリスクもはらんでおり、やはり、天文・地文航法は航海士にとって必要なスキルのようです。
船舶不稼働損失保険
2020/04/17 11:26:05 センムのつぶやき
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海上運送の世界は、船そのものが非常に高額(数億円)であるばかりか、大量輸送機関であるが故、一度に運ぶ積荷の価格も数千万円~数億円という値段の物資を輸送しています。
それだけに一航海あたりの輸送費も高額で、何らかの理由で船が不稼働となると、その損失額も甚大です。
そのため、海上保険には、主に第三者に対する賠償責任を担保する「船主責任保険(いわゆるPI保険)のほか、船舶自体の危険や損害を補償する「普通保険」あるいは、「戦争保険」や「航海保険」など様々な種類の保険があり、それぞれ船主さんが必要に応じて加入しておられます。
確認をお勧めします!!
なかでもいま注目されているのが、感染症や伝染病が発生したことによる船舶の運航抑止を担保する「オフハイヤー総合保険」(損保会社によって名称はいろいろ)です。
これは「船舶不稼働損失保険」で担保されない事象が発生した場合、例えば海賊・強盗やテロ、ストライキやロックアウト、禁制品の発覚などなど、平時ではあまり想定していない特殊事情が発生した時に補償される性格の保険のようですが、昨今の「新型コロナウイルス蔓延」により万一、内航船員に感染者が発生したおり、役立つ制度なのかもわかりません。(実は私も詳しくないので自信をもって言っているわけではありません)
幸い、本日現在では内航船員の感染者は報告されていませんが、側聞するところ、港湾運送事業の社員さんに感染者が発生したとの情報もあり、十分に気を付けなければなりませんが、万一を想定し、保険会社のご担当に問い合わせておくなり、各社さんの保険契約の内容、適用の内容、約款の確認をされておいたほうが良いのではないかと思います。
内航業界から感染者が出ませんように・・・・
ステイホームがんばろう!
2020/04/15 11:41:16 センムのつぶやき
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新型コロナウイルスの蔓延は、一向に収束が見えません。
それどころか、当地広島でもいくつかのクラスターが発生したりして、ますます緊張感が高まっています。
中海連事務局職員も、手洗い・マスクはもとより、交代勤務にするなど、可能な限りの感染対策を取っています。
各地から「がんばろうメール」をいただいています。本当にありがとうございます。
「明けない夜はない」「止まない雨はない」
がんばりましょう!!
芸能界・スポーツ界では・・・
YouTube動画で様々な「ホームステイ支援」をしておられます。
が、
我々船の世界に携わるものとしては、やっぱり船のネタ!
少なくともゴールデンウイーク明けまでは外出自粛が続くわけですから、ここはひとつ「帆船模型」にでも挑戦されたらいかがでしょうか!
とはいっても、本格的な帆船模型キットは数万円という金額と、半端ない時間がかかるのがネックですから、今回お勧めしたいのはこのサイト!
キャノンCREATIVE PARK「ペーパークラフト」
内航総連でも貨物船やLPG、RORO船のペーパークラフトを配布していますが、それより多少難易度は高めです。
私も連休明けまでには一つ完成させたいと思っています。
このHPをご覧になっている方は多少なりとも船が好きな方でしょうから、外遊び(夜遊び)自粛のこの期間、おひとついかがでしょうか!!
サイレントタイムのはなし
2020/04/10 14:03:17 船のあれこれ
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「サイレントタイム」って聞いたことありませんか?
この言葉がクローズアップされたのは、1995年の「阪神・淡路大震災」の時でした。
がれきに埋まった被災者の助けを求める声が、飛び交う報道ヘリや重機の爆音にかき消されて聞こえない・・・
時間を定めて一切の音を消し、助けを求める小さな声に耳を傾ける時間を確保しよう。
これがサイレントタイムです。
画像は
https://minkara.carview.co.jp/userid/173494/blog/35096256/からいただきました。
船の世界では古くからおこなわれている習慣でした。
言うまでもなく船は陸上を遠く離れて航行します。当然有線通信はできませんから無線が唯一の通信手段となります。
携帯電話・スマホといえども中継局から10数キロも離れたら役にたちませんし、灯火や旗についても肉眼で見える範囲でしか使えません。汽笛なども限界があります。
そのため、船の通信は無線の発達とともにありました。
1899年、マルコーニが初の国際無線通信に成功して以降、わずか10年後には難破した「スロバニア号」による遭難信号(当時はSOSでなくCQDという信号)が発せられています。
しかし、当時の無線の世界では現在のようなルールは存在せず、まさに「無法地帯」。
客船では乗船客のリクエストによる電報を捌く作業に忙殺され、重要な無線通信は二の次。タイタニック事故は氷山の接近情報が正しく伝わらず、事故の一因になったといわれています。
こうしたことから、1912年のタイタニック事故後、無線運用のみならず、船舶の安全にかかわる国際的なルールを統一しようとする機運が盛り上がり、現在の条約の原型 = 海上における人命の安全に関する条約「1914年SOLAS条約」が制定されました。
しかしこの条約は5カ国のみの批准にとどまり、発効には至りませんでした。
それはなぜか。
同年、第一次世界大戦が勃発したからです。(人間って本当に愚かです)
その後、1929年に初の国際基準として統一され、幾度かの変遷を経て「1974年SOLAS条約」として現在のルールが確立されています。
またもや話が逸れてしまいましたが・・・
文章を書いていくとどんどん話が逸れてしまうのが悪い癖です(笑)
話をもとに戻しますが、画像をご覧ください。この画像は旧青函連絡船の「十和田丸」の無線室ですが、時計の15分~18分の3分間、45分から48分の3分間は赤く塗りつぶされています。
これは、「この間は無線送信を控えて、ひたすら聞くことに集中しよう、もしかしたら助けを求めるSOSが発せられているかもわからない。」というための時間です。
長らく通信手段の主力であった「モールス信号」も、その運用には特殊な技能が必要であることや、人工衛星機器の発達から、1985年6月のSAR条約「1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約」が発効し、これに伴いGMDSS(Global Maritime Distress and Safety System:全世界的な海上遭難・安全システム)が導入されました。
(現在モールス信号はアマチュア無線と漁船の一部で使用されるのみとなっています)
現在では地球上のどこにいても、ひとたび海難が起きれば、「衛星イーパブ」という装置から極軌道衛星に救難信号が飛び、たちどころに近隣を航行する船や海上保安機関に速報が入り、救助される仕組みとなっています。
また、それにともない、「サイレントタイム」も現在では行われていませんし、こんな時計も今ではインテリアの中でしか存在しません。
現在では「通信士」が乗っている船は限られた特殊な船ですが、こうしたこと一つをとっても、多くの犠牲のうえに現在の安全規制が成り立っていることがわかります。
ちなみに、日本山岳協会でも遭難者のために1日3回のサイレントタイムを設けているそうです。
今日の文章は長くてスミマセン(#^^#)